【誤解を正す】アバルトのMTは疲れる・割高?国産スポーツと迷う人へ、試乗でわかった「走りと安定感」の真実

【誤解を正す】輸入車オーナーの本音レポート

「刺激的なマニュアル車に乗りたいけれど、アバルトは乗りにくそうだし、スイフトスポーツなどの優秀な国産車にするべきか……」と悩んでいませんか?

コンパクトなボディに凶暴なエンジンを積んだ「サソリのエンブレム」。アバルト(ABARTH)のMTモデルは車好きの憧れである一方で、ネット上では「疲れる」「割高」「国産スポーツの方が速くて壊れない」といったネガティブな声(誤解)もよく目にします。

私はこれまで35年間にわたり、イギリス車やドイツ車を中心に乗り継いできました。今回は、そんな輸入車歴の長い筆者が実際にアバルトのMTモデルを試乗して感じた、カタログスペックでは絶対に測れない「エンジン音」「走り出し」、そして「カーブでのリアルな安定感」について、国産車やドイツ車と比較しながら忖度なしでレビューします。

まずは結論!スペックの国産車か、官能のアバルトか

いきなり結論からお伝えします。

「とにかく安くて、壊れなくて、サーキットのタイムが速い車」を求めているなら、迷わずスイフトスポーツやGRヤリスなどの国産車を選ぶのが正解です。日本の車作りは本当に優秀です。

しかし、もしあなたが「エンジンをかけた瞬間の高揚感」や「街中の交差点を曲がるだけでもニヤリとしてしまう楽しさ」にお金を払えるのであれば、アバルトは絶対に後悔しない、唯一無二の選択肢になります。

ショールームに展示されている黒いアバルトのフロントビュー
ディーラーで待ち構えていた、サソリのエンブレムが輝くアバルト

誤解1:「乗りにくい・疲れる」を吹き飛ばす圧倒的なエンジン音と走り出し

アバルトのMTに対して「クラッチが重そう」「街乗りではギクシャクして乗りにくそう」というイメージを持っている方は多いでしょう。

しかし、実際にステアリングを握ってまず驚かされたのは、「走り出しの良さ」と「低速からのトルク感」です。神経質になる必要は全くなく、拍子抜けするほどスムーズに街の交通の流れに乗ることができます。

そして何より心を掴まれるのが、背後から響く「エンジン音(排気音)」です。 アイドリング時から野太く響き、アクセルを踏み込めば弾けるような快音を奏でるマフラー(レコードモンツァ)のサウンドは、遮音性が高められた現代の優等生な車たちとは一線を画します。この音を聴きながらMTを操るだけで、毎日の通勤路が特別なステージに変わってしまう。それがアバルト最大の「毒(魅力)」です。

アバルトの右ハンドル仕様の運転席とインテリア。スポーティな専用シートとステアリング
アバルトのコックピット。スポーティなシートと太めのステアリングが「走る気」にさせてくれます。(※写真はMTAモデル)

誤解2:「走りは国産スポーツと同等」という勘違い。カーブでわかる安定感の違い

コンパクトカーの走りにおいて、よく国産ホットハッチと比較されますが、実際に走らせてみると「車作りの思想」が根本的に違うことに気づきます。

アバルトはホイールベースが短く、驚くほど「小回り」が効きます。ステアリングを切った瞬間にノーズがスッと入り込む機敏さは、まさにライトウェイトスポーツの醍醐味です。

そして特筆すべきは、「ある程度のスピードでカーブに進入した際の安定感」です。 これまでの私の35年の経験から率直に比較すると、アウトバーンで鍛えられたイギリス車やドイツ車(VW、アウディなど)の「矢のような直進安定性と剛性感」には一歩譲るのが正直なところです。

しかし、日本車(国産コンパクト)と比較した場合は、間違いなくアバルトの方が足回りの踏ん張りと、ボディ全体でGを受け止める「安心感・安定感」が一段上にあります。

軽快に小回りが効くのに、スピードを乗せてカーブを曲がっても腰砕けにならない。この「ドイツ車と日本車のちょうど中間に位置するような、絶妙にスポーティな味付け」こそが、イタリア車が長年愛される理由なのだと深く納得しました。

まとめ:アバルトは「不便さ」すら愛せる大人のためのおもちゃ

アバルトのMTは、決して「万人受けする完璧な優等生」ではありません。 乗り心地は硬いですし、ペダルレイアウトに少し癖を感じる人もいるでしょう。コスパやスペック表の数値だけで見れば、国産車に軍配が上がる部分も多々あります。

しかし、圧倒的なエンジン音、小気味良い走り出し、そして国産車にはない絶妙なコーナリングの安定感を一度味わってしまうと、そんな「小さな欠点」はどうでも良くなってしまうほどの強烈な魅力があります。ネット上の「後悔する」という声は、この魅力を知らずにスペックだけで車を選んでしまった人の誤解に過ぎません。

追記:そして私は、未知なる「イタリアの魅力」へ

ちなみに、アバルトのベース車両である「フィアット500」ですが、現在はガソリン車の輸入終了に伴い「もう維持できないのでは?」という不安の声が聞かれます。しかし、それも大きな誤解です。 長年輸入車を乗り継いできた視点から、今あえてチンクエチェントを選ぶべき理由とリアルな維持費について、こちらの記事で詳しく解説しています。

【実録】FIAT 500は「輸入終了で維持不能」は本当か?35年ドイツ車・英国車を乗り継いだ私が、“初めてイタリア車に惹かれた理由”
FIAT 500(チンクエチェント)は輸入終了で維持不能になるのか?35年以上英国車・ドイツ車を乗り継いできた筆者が、実際に触れて感じた魅力やTwinAirの鼓動感、デュアロジックの真実、維持費や故障リスクを本音で解説します。

かくいう私も、このアバルトへの試乗をきっかけに「イタリア車の持つ陽気でおおらかな魅力」にすっかり取り憑かれてしまった一人です。

自身の現在のライフスタイルと照らし合わせ、最終的にこの尖ったスポーツカーを愛車として選ぶことはありませんでしたが、実は近日中に、自身初となる「イタリア車」を新たな相棒として迎え入れる準備を進めています。

アバルトのサソリの毒に魅せられたように、国が違うとクルマ作りはここまで変わるのかという驚きを、次の愛車でもたっぷりとお届けする予定です。ぜひ楽しみにお待ちください!

国産車からの乗り換えでアバルトを検討している方は、まずは一度、今の愛車の価値を調べておくことをおすすめします。ディーラーで試乗したその日のうちに、ハンコを押してしまうかもしれませんよ!

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