【実録】FIAT 500は「輸入終了で維持不能」は本当か?35年ドイツ車・英国車を乗り継いだ私が、“初めてイタリア車に惹かれた理由”

「可愛いだけのクルマじゃない!」白いフィアット500(チンクエチェント)のフロント画像 【誤解を正す】輸入車オーナーの本音レポート
単なる「可愛いクルマ」という枠に収まらない、フィアット500の奥深い魅力と真実。

「フィアット500のガソリン車って、もう終わったんですよね?」

最近、そんな声を本当によく耳にします。

2024年に純ガソリンモデルの輸入終了が発表されて以降、ネット上では、

  • 「部品が無くなる」
  • 「維持できなくなる」
  • 「イタリア車は壊れる」
  • 「今さら手を出す車じゃない」

といった不安の声が一気に増えました。

しかし、ローバーミニやランドローバー、VW、アウディなど、35年以上にわたって輸入車を乗り継いできた私から見ると、それらの多くは“実際に触れたことがない人のイメージ”に近いようにも感じます。

実は、この頃の私はまだイタリア車オーナーではありませんでした。

長年、質実剛健なドイツ車や無骨な英国車を中心に乗ってきた人間です。そんな私が、なぜFIAT 500という小さなイタリア車に強く惹かれたのか。

今回は、「輸入終了=維持不能」という噂の真相とともに、初めてチンクエチェントに触れた時のリアルな印象を、輸入車好きの目線から正直にお話ししたいと思います。

「輸入終了=フィアット500終了」ではない

まず最初に整理しておきたいのがここです。

2024年に終了したのは、あくまで「純ガソリンモデル」の新規輸入。

つまり、

  • 1.2L FIREエンジン
  • TwinAir(0.9L 2気筒ターボ)

などのエンジン車の輸入が終了しただけで、FIATブランドそのものが日本市場から撤退したわけではありません。

現在もEVモデル「500e」は継続販売されています。

ネットでは時々、

「もう部品が出なくなる」
「ディーラーも面倒を見なくなる」

という極端な話も見かけますが、そこまで悲観する必要はないでしょう。

FIAT 500は、日本で“しっかり定着した輸入車”

古い輸入車で本当に怖いのは、「人気」よりも“流通台数”です。

どんなに魅力的な車でも、日本国内でほとんど売れていない車種は、部品や整備環境で苦労することがあります。

しかしFIAT 500は違います。

2008年以降、日本でも長年にわたって販売されてきた人気車種であり、街中でも見かける機会が非常に多い輸入車です。

そのため、

  • 純正部品
  • OEMパーツ
  • 社外パーツ
  • 中古部品

などの流通量も比較的豊富。

さらに、

  • イタリア車専門店
  • FIATに強い整備工場
  • 輸入車対応ショップ

全国に存在しています。

これは、かつてローバーミニや旧型ランドローバーのような“部品探しに苦労する車”を経験してきた私から見ても、かなり安心できる環境に感じました。

FIAT 500は「可愛いだけの車」ではなかった

正直に言うと、最初は私も、

「おしゃれな女性向けコンパクトカー」

くらいのイメージを持っていました。

しかし、実際に触れてみると印象は大きく変わります。

特に強く印象に残ったのが、TwinAirエンジンの“機械感”でした。

TwinAirには、昔の輸入車に通じる“鼓動感”がある

フィアット500の運転席とステアリング周りのインテリア
最新のデジタルモニターにはない、どこかアナログで血の通った温かみを感じるフィアット500のコクピット。

最近の車は、本当に静かです。

エンジン音も振動も極力抑えられ、誰が乗っても快適に走れるように作られています。

もちろん、それは素晴らしい進化です。

ですが、FIAT 500のTwinAirには、そうした現代車とは違う“生っぽさ”がありました。

エンジンをかけると、

「ブルブルブル…」

と独特の振動が伝わってくる。

静粛性だけで言えば、決して優秀ではありません。

ですが、アクセルを踏み込んだ瞬間に感じる、

  • 軽快さ
  • 小気味良さ
  • エンジンの鼓動感

これが実に楽しい。

試乗レベルではありましたが、私はそこに、昔乗っていたローバーミニや英国車に通じる“機械との対話感”を感じました。

デュアロジックは「クセがある」が、「欠陥」ではない

FIAT 500でよく話題になるのが、「デュアロジック」です。

ネットでは、

  • ギクシャクする
  • 壊れやすい
  • 乗りにくい

などと言われがちですが、実際には“普通のATとは性格が違う”という表現の方が正確だと思います。

デュアロジックは、

「MT車のクラッチ操作を機械が代わりにやっている仕組み」

です。

そのため、一般的なAT感覚でアクセルを踏み続けると、変速時に違和感が出やすい。

逆に、MT車のように少しアクセルを抜いてあげると、驚くほど自然に走ります。

これは、昔のMT車に慣れている人ほど理解しやすい感覚かもしれません。

丁寧に扱うことで、機械への負担を減らしやすいという特徴もあります。

ドイツ車とは真逆。でも、その“ゆるさ”が魅力

当時の私は、アウディやVWのようなドイツ車の世界に長く慣れていました。

高速道路での安定感。
精密機械のような操作感。
長距離でも疲れにくい快適性。

その完成度は本当に素晴らしいと思います。

ですがFIAT 500は、そういう価値観とは少し違う場所にいる車でした。

例えば、

  • 近所のカフェへ行く時間
  • スーパーへの買い物
  • 休日の街乗り

そんな日常の移動が、少し楽しく感じられる。

「移動効率」ではなく、「移動そのものを楽しませる車」。

それが、私がFIAT 500に感じた最大の魅力でした。

「イタリア車は壊れる」は、昔ほど単純な話ではない

もちろん、日本車と同じ感覚で“完全ノーメンテナンス”というわけにはいきません。

ですが、現在のFIAT 500を、

「すぐ壊れる車」

と一括りにするのは少し乱暴だと思います。

特に1.2Lエンジンは、長年熟成されてきた実績のあるユニットです。

定期的な、

  • オイル交換
  • バッテリー管理
  • 消耗品交換

など、基本的なメンテナンスをきちんと行えば、十分現実的に維持できる輸入車だと感じました。

むしろ最近は、高性能化しすぎた最新車の高額修理の方が怖い時代かもしれません。

まとめ|FIAT 500は、「数字」ではなく“感性”で乗る車

FIAT 500は、

  • スペック
  • 速さ
  • 静粛性
  • 効率性

だけで比較する車ではありません。

ですが、この車には、“数字では説明できない魅力”があります。

駐車場に停まっている姿を見るだけで少し嬉しくなる。
エンジンをかけるだけで気分が変わる。
ただ街を走るだけなのに、どこか楽しい。

そんな感覚を与えてくれる車でした。

長年、英国車やドイツ車を乗り継いできた私が、初めて「イタリア車って面白いな」と感じたきっかけ。

それが、このFIAT 500だったのです。

もし今、「輸入終了」という言葉だけで不安になっているなら、一度だけでも実車に触れてみてください。

きっと、“ただの可愛い車”では終わらない魅力に気づくと思います。