週末、車好きの友人に誘われ、話題の Tesla Model Y を試乗する機会がありました。
長年エンジン車を乗り継いできた友人で、私と同じく“内燃機関好き”の人間です。
そんな彼が、
「一回テスラ乗ってみようよ」
と半分興味本位で誘ってきたのです。
正直、私自身もかなり気になっていました。
テスラといえば、圧倒的な加速性能と最先端EVの象徴のような存在です。
一方で、長年輸入車に乗ってきた人間としては、
「本当に自然に運転できるのか」
「車として楽しいのか」
という部分も気になっていました。
今回試乗した車両は、3列シート仕様を備えたモデルY系車両でした。
実際に乗ってみると、単純な“速いEV”ではない、テスラの進化を強く感じる一台でした。
しかし同時に、車好きだからこそ感じる“戸惑い”も確かに存在していました。
毎回の事ですが、写真NGは痛いです。
まず驚かされたのは、その圧倒的な存在感
目の前に現れたモデルYは、とにかく大きい。
最近のSUVは大型化が進んでいますが、それでもこのサイズ感には独特の迫力があります。
しかも、ただ大きいだけではありません。
3列シートによる実用性もしっかり意識されていました。
巨大なパノラマルーフによる開放感もかなり印象的です。
最近の輸入車は“室内空間の演出”を重視する流れがありますが、テスラはその方向をかなり徹底しているように感じました。
まるで移動空間そのものをデザインしているようです。
最初に戸惑ったのは「軽すぎるステアリング」
しかし、走り出してすぐ、私たち二人は少し困惑することになります。
まず驚いたのが、ステアリングの軽さでした。
かなりクイックで、スポーティ寄りの味付けになっています。
もちろん慣れてしまえば問題ないのでしょう。
ただ、長年エンジン車に乗ってきた感覚だと、最初は少し落ち着きません。
しかもテスラは、車両設定の多くをセンターモニター側で操作します。
「これ、どこで変えるんだ?」
友人と二人で設定画面を探しながら苦笑いしてしまいました。
最近の車は電子化が進んでいますが、テスラはその世界をさらに一歩進めている印象があります。
“目の前に何もない”ことへの違和感
そしてもうひとつ、内燃機好きの私たちを戸惑わせたのが、運転席前方の景色でした。
一般的なメーターパネルは設けられておらず、速度表示や車両情報は中央モニターへ集約されています。
合理的と言えば合理的です。
実際、センターモニター自体は非常に見やすく、操作レスポンスも優秀でした。
ただ、それでも長年タコメーターや速度計の針を見ながら運転してきた世代には、どうしても不思議な感覚があります。
友人と、
「やっぱり目の前にメーターがある方が落ち着くよね」
そんな話で盛り上がってしまいました。
これは性能の問題というより、“慣れ”の部分が大きいのでしょう。
街中で感じた乗り心地の進化
戸惑いはありつつも、走りそのものはかなり印象的でした。
特に驚いたのは、街中での乗り心地です。
今回試乗したモデルY系車両は、サスペンション制御の改良によって、以前よりかなりしなやかな印象を受けました。
以前のテスラには、硬さや突き上げ感を指摘する声もありました。
しかし今回の仕様では、街中での快適性がかなり向上しています。
特に後席の快適性は印象的でした。
最近の高級SUVは“静かで快適”な方向へ進化していますが、このテスラも確実にその領域へ近づいています。
設定をコンフォート寄りにすると、かなり落ち着いた乗り味になります。
ただし完全無欠というわけではありません。
状況によっては少しフワつきを感じる場面や、細かな振動が残る場面もありました。
また、ハンドルを切りながら段差を越える際には、フロント側の動きが少し忙しく感じる瞬間もあります。
それでも、以前のテスラを知っている人なら、その進化にはかなり驚くと思います。
高速道路では“制御の上手さ”が際立つ
高速道路では、テスラらしい力強い加速性能を改めて実感しました。
アクセルを踏み込んだ瞬間の加速感は、やはり内燃機関とは別世界です。
しかも印象的だったのは、ただ速いだけではないことでした。
雨天時や荒れた路面でも、AWDと電子制御が非常に緻密に仕事をしています。
大柄なSUVでありながら、不安感が少ない。
高速域でも乗り味はかなり洗練されていました。
正直、ここまで“完成度の高いEV”になっているとは思っていませんでした。
それでも私は、T-Rocを思い出していた
しかし、試乗を終えて帰る途中、不思議なことに私の頭に浮かんでいたのは、以前所有していた Volkswagen T-Roc のことでした。
テスラは確かに素晴らしい。
未来感もある。
静かで速い。
しかし、どこか“気を遣う”感覚もあります。
慣れるまでは情報量が多く感じる場面もありました。
一方、T-Rocは違いました。
ハンドルを握った瞬間から自然です。
車幅感覚もつかみやすく、操作にも迷わない。
何より、“車が何をしようとしているか”が自然に伝わってくる感覚があります。
これは数字では説明しにくい部分ですが、長距離を走るほど効いてきます。
テスラは「未来」、T-Rocは「人間感覚」
今回改めて感じたのは、この2台は思想そのものが違うということでした。
テスラ モデルY
- ソフトウェア中心
- モニター中心
- 電子制御主体
- デジタル世界観
- デバイス感覚
T-Roc
- 人間感覚に近い操作性
- 分かりやすい視界
- 自然なステアリング感覚
- 安心感のある挙動
- “車らしさ”が残る感覚
どちらが優れているという話ではありません。
ただ、運転した時の感覚がまったく違う。
テスラは「未来を先取りしている車」。
一方のT-Rocは、「人間中心に感じられる操作感を大切にした車」でした。
私はまだ、“人間らしい車”が好きなのだと思う
今回、テスラ モデルYに乗って感じたのは、「未来は確実に来ている」ということでした。
静かで、速くて、安全。
しかも技術進化のスピードは驚異的です。
しかしその帰り道、私はなぜかT-Rocを思い出していました。
ハンドルを握った時の自然さ。
視界の安心感。
操作に迷わない感覚。
そして、“車を運転している”という実感。
最新技術に圧倒されながらも、私はまだ、人間らしい感覚を残した車が好きなのだと思います。
そして、そう感じさせてくれたこと自体が、今回のテスラ試乗で最も印象的だったのかもしれません。
