ハコスカから始まり、ローバーミニ、ディフェンダー110、ディスカバリー3、パサートヴァリアント、アウディA3セダン、VW T-Rocまで。
気が付けば輸入車歴は35年になりました。
これまで乗ってきた輸入車の多くはドイツ車と英国車です。
合理性を極めたドイツ車。
無骨さと個性に満ちた英国車。
どちらも魅力的でした。
そんな私がある日、久しぶりに心を大きく揺さぶられる一台に出会いました。
それがアルファロメオ ジュリアです。
今回は、妻の何気ない一言がきっかけで訪れたディーラーで体験したアルファロメオ ジュリア試乗記をお届けします。
結論から言えば、
「もし今より10歳若かったら、本気で購入を検討していた」
そう思わせるほど魅力的な一台でした。
妻のひと言から始まったアルファロメオとの出会い

その日、私たち夫婦は近くのフィアット/アバルトディーラーを訪れました。
きっかけは妻の一言です。
「アバルトのMT車ってどんな感じなのか見てみたい」
実は当時、車の買い替えを真剣に考えていたわけではありません。
ちょっと時間があったから立ち寄った程度でした。
しかしショールームに足を踏み入れた瞬間、視線が吸い寄せられる一台がありました。
アルファロメオ ジュリア。
低く構えたノーズ。
特徴的な盾型グリル。
筋肉質なフェンダー。
その姿は、これまで乗ってきたドイツ車とは明らかに違うオーラを放っていました。
「なんだ、この色気は…」
それが第一印象でした。
ドイツ車にはない「感情で作られたデザイン」
私は過去にパサートヴァリアントを5年間、アウディA3セダンを5年間、そしてT-Rocも5年間所有してきました。
どの車も完成度は非常に高かったです。
特に高速安定性や静粛性、長距離移動の快適性は見事でした。
ドイツ車は本当に優秀です。
アウトバーンという高速道路文化の中で磨き上げられた完成度があります。
しかしジュリアを前にしたとき、私は別の感情を抱きました。
それは「理屈ではない魅力」です。
アウディA3セダンは精密機械のような美しさでした。
プレスラインの鋭さ。
パネルの隙間の均一性。
職人芸のような造り込み。
一方でジュリアは違います。
まるで彫刻作品です。
見る角度によって表情が変わる。
駐車場で振り返りたくなる。
意味もなく眺めていたくなる。
車なのに芸術品のような存在感がありました。
試乗開始。アクセルを踏んだ瞬間に世界が変わった
そして試乗へ。
運転席に座った瞬間から、すでに違和感がありました。
良い意味でです。
着座位置が低い。
ステアリングが立っている。
体が自然に運転モードへ切り替わる感覚があります。
エンジンを始動。
静かです。
しかしアクセルを踏んで走り出した瞬間、その印象は変わりました。
交差点を曲がり、少し交通量の少ない道路へ出たところでアクセルを踏み込みます。
すると、
後ろから押される。
そんな感覚がありました。
「これがFRか」
頭では知っていました。
しかし実際に体感すると全く違います。
FFベースのドイツ車は前輪が車を引っ張る感覚です。
対してジュリアは後輪が路面を蹴って押し出してくる。
車が前へ前へと進みたがるのです。
その感覚が実に気持ちいい。
久しぶりに「運転そのものが楽しい」と感じた
最近の車は本当に優秀です。
自動ブレーキ。
レーンキープ。
ACC。
どんどん便利になっています。
しかしその反面、
運転する楽しさそのものは薄れている気もします。
ところがジュリアは違いました。
ステアリングを切る。
車が反応する。
アクセルを踏む。
エンジンが応える。
その一つひとつが楽しい。
カーブを抜けるだけで笑顔になる。
私が若い頃、ハコスカやスプリンタートレノに夢中になった理由を思い出しました。
「車を操る楽しさ」
それが確かに残っていたのです。
ドイツ車の完成度とイタリア車の官能性
ここで誤解してほしくないのは、
私はドイツ車が大好きです。
パサートもA3もT-Rocも素晴らしい車でした。
故障もなく、長距離移動では最高のパートナーでした。
しかしジュリアは価値観が違います。
ドイツ車が「100点の道具」なら、
ジュリアは「80点だけど心を動かす道具」。
そんな印象でした。
効率だけならドイツ車。
感情ならジュリア。
私はそう感じました。
なぜ購入しなかったのか?
ここまで褒めておいて購入しなかった理由。
それは現在のライフスタイルです。
私たち夫婦には子どもはいません。
代わりに犬との時間を大切にしてきました。
今は夫婦でゆっくり旅行へ出掛けたり、のんびりドライブすることが増えています。
そんな生活の中では、
「もっと走りたい」
「もっと遠回りしたい」
と思わせるジュリアは少し刺激が強すぎました。
もし50代前半だったら。
間違いなく本気で悩んでいたと思います。
しかし60代になった今、
私が求める車は少し変わっていました。
だから最終的には選びませんでした。
それでも忘れられない一台
これまで35年、数多くの輸入車に乗ってきました。
ローバーミニの愛嬌。
ディフェンダー110の無骨さ。
ディスカバリー3の快適性。
パサートヴァリアントの万能さ。
アウディA3の上質感。
T-Rocの最新ディーゼル性能。
どの車にも魅力がありました。
その中でもアルファロメオ ジュリアは異質でした。
便利だから欲しいのではない。
燃費が良いから欲しいのでもない。
ただ運転したい。
ただ所有したい。
そんな感情を呼び起こす車だったのです。
まとめ|アルファロメオ ジュリアは理屈で選ぶ車ではない
アルファロメオ ジュリアは、間違いなく現代では貴重な存在です。
効率や合理性だけでは語れない魅力があります。
輸入車歴35年の私が感じたのは、
「ジュリアは感情を刺激する車」
だということ。
ドイツ車の完成度は素晴らしい。
しかしジュリアには、それとは別の世界があります。
理屈で選ぶならドイツ車。
心で選ぶならジュリア。
試乗を終えてディーラーを後にしたあとも、しばらく頭から離れませんでした。
久しぶりに、
「危険なほど魅力的な車に出会ってしまった」
そう思わせてくれた一台です。
もしあなたが輸入車選びで迷っているなら、一度だけでもアルファロメオ ジュリアを試乗してみてください。
きっとスペック表だけでは分からない、“イタリア車の色気”を体感できるはずです。

