外車と付き合い始めて35年。ハコスカから始まり、1989年式のキャブ車ローバーミニ、無骨な旧型ディフェンダー110、VW T-Roc(TDI)を経て、現在はイタリアの商用バン「FIATドブロ」を相棒にしている筆者です。
今回は、久しぶりに「これは本気で欲しくなる……!」と心が躍った一両、新型メルセデス・ベンツ CLA220 シューティングブレーク(ガソリン/48Vマイルドハイブリッド)の試乗記をお届けします。
「クーペの美しさ」と「ステーションワゴンの実用性」を兼ね備えたこのモデル。派手なアンビエントライトや第4世代MBUXといったデジタル体験だけでなく、走りの質感や後席のリアルな居住性まで、ベテランオーナーの目線で徹底的に解剖します。
新型CLA220 シューティングブレーク 主要スペックまとめ
| 項目 | スペック・仕様 |
| パワートレイン | 1.5L 直列4気筒ガソリンターボ + 48Vマイルドハイブリッド(M252型) |
| トランスミッション | 8速DCT(デュアルクラッチトランスミッション) |
| モーター出力/トルク | 最高出力:15kW(20PS) / 最大トルク:200Nm |
| カタログ燃費(WLTC) | 19.9 km/L |
| 主要装備 | 第4世代MBUX、フラッシュマウントドアハンドル、4:2:4分割可倒式リアシート |
| 注目オプション | アドバンスドパッケージ(助手席パッセンジャーディスプレイ含む) |

エクステリア:流麗なスタイリングとフラッシュマウントの仕掛け

まず目を奪われるのが、シューティングブレークならではの流れるようなサイドシルエットです。ブラックのボディカラーにシグネチャーランプが美しく映え、スポーティでありながらエレガントな雰囲気を放っています。
格納式「フラッシュマウントドアハンドル」の特別感
キーを持って近づくと、ボディーに埋め込まれていたドアハンドルが「ウィーン」と静かに飛び出してきます。見た目の美しさと空気抵抗低減はもちろんですが、乗り込む瞬間の「これから特別な車に乗るんだ」という演出として、所有満足度を格段に高めてくれます。
フロントの「擦りやすさ」は改善されたか?
先代CLAオーナーからよく聞かれた「フロントリップを擦りやすい」という懸念ですが、新型では最低地上高やフロントオーバーハングのデザインが見直され、日常の段差やスロープでも神経質になりすぎずに走れる絶妙な塩梅に仕上がっています。
インテリア&デジタル体験:華やかな演出と第4世代MBUX

ドアを開けた瞬間に広がるのは、最新メルセデスならではのド派手で未来的な空間です。
車内を彩るアンビエントライト
助手席ダッシュボードの星型パターンやエアアウトレット(吹き出し口)まで鮮やかに発光するアンビエントライト。「ウルトラマリーン」や「フラッシュシアン」といったカラーテーマを選ぶことができ、夜間のドライブはテーマパークのような特別感に包まれます。
助手席パッセンジャーディスプレイの実力
オプションの「アドバンスドパッケージ」を装着すると、助手席前に専用ディスプレイが追加されます。
- 動画配信サービスに対応:YouTubeはもちろん、Amazonプライムビデオ、Disney+、Huluなどが走行中も視聴可能。
- 通信費無料(3年間):メルセデスのコネクテッド通信を利用するため、テザリングなどの面倒な設定は不要です。
- プライバシー機能(安全設計):ドライバーが走行中に助手席画面を注視すると、カメラが検知して画面が自動で消灯する賢い安全機能が備わっています。
質感と、ひとつだけ感じた「惜しい点」
本アルミやアルカンターラ風素材が巧みに配され、質感が非常に高いインテリアですが、唯一気になったのは「シートベンチレーション(送風機能)」の設定がない点です。夏場にアルカンターラシートへ座る際、背中の蒸れを防ぐベンチレーションがあれば完璧だっただけに、ここだけは惜しいポイントと感じました。

後部座席の居住性とラゲッジの実用性
スタイリング重視のシューティングブレークで最も気になるのが「後部座席は狭いのか?」という点でしょう。
後席足元の広さは十分以上
身長173cmの筆者が自分のドライビングポジションを合わせた状態で後席に座ってみると、膝前には「拳2.5個分」の余裕がありました。頭上空間も、セダンモデルに比べるとシューティングブレークはルーフが後方まで伸びているため圧迫感が少なく、大人が長時間乗っても十分に快適です。
後席の快適装備と積載力
- 快適装備:センターコンソール後部にリアエアコン吹き出し口とUSB Type-Cポート(2口)を完備。アームレストにはドリンクホルダーとスマホ保持スペースも備わっています。
- 4:2:4分割可倒式シート:中央だけを倒してスキー板や長尺物を積んだり、4人乗車をキープしたまま荷室を広げたりと、ワゴンのような使い勝手の良さを誇ります。
走行パフォーマンス・乗り心地:ガソリンMHEVの滑らかさ
走り出してみて一番驚かされたのは、48Vマイルドハイブリッド(MHEV)と8速DCTのマッチングの素晴らしさです。
発進時から効く200Nmのモータートラクション
1.5Lエンジンと聞くと「トルク不足では?」と疑いたくなりますが、発進した瞬間にモーターの200Nmのトルクが立ち上がるため、踏み込んだ瞬間の力強さは抜群です。アクセルオフ時には頻繁にエンジンがストップしてコースティング(空走)状態に入り、市街地走行の約半分がモーターアシスト領域に感じるほど効率的に走ります。
ストレスフリーな8速DCT
従来のDCT特有のギクシャク感が完全に消し去られています。発進や微低速域をモーターがアシストするため、まるで上質なトルコンATに乗っているかのような滑らかな変速フィールです。
19インチホイールでも「しなやか」な乗り心地
試乗車は大径の19インチタイヤを履いていましたが、サスペンションが路面の凹凸をしなやかにいなし、ゴツゴツとした不快な突き上げは一切ありません。タイヤのサイドウォールが薄いにもかかわらず、足回りがしっかりと動いて路面を追従する感覚は、さすがメルセデスの洗練されたシャシー技術です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 新型CLAシューティングブレークのカタログ燃費(実燃費)はどれくらいですか?
A1. カタログ燃費(WLTCモード)は19.9km/Lです。 48Vマイルドハイブリッドシステムが発進時のアシストや走行中の頻繁なエンジン停止(コースティング)を行うため、ガソリン車でありながら非常に優れた低燃費を実現しています。
Q2. 後部座席は大人でもゆったり座れますか?狭くありませんか?
A2. 大人が快適に座れる広さが確保されています。私の身長170cmが、座った状態でも膝前に拳2.5個分のスペースがあり、リアエアコン吹き出し口やUSB Type-Cポートも完備されています。ルーフラインが直線的なため、クーペ(セダン)よりも頭上空間に余裕があります。
Q3. 助手席のディスプレイで走行中にYouTube動画などは見られますか?
A3. 走行中も動画の視聴が可能です。 オプションのアドバンスドパッケージ装着車では、YouTubeや各種ストリーミングサービスを車載通信(3年間無料)で楽しめます。なお、ドライバーが画面を注視すると画面が自動消灯する安全機能が搭載されています。
まとめ:先進技術と機械としての完成度が融合した一台
新型メルセデス・ベンツ CLA220 シューティングブレークは、第4世代MBUXや華やかなアンビエントライトといったデジタル演出で読者を魅了するだけでなく、1.5L+48V MHEVによる走りのクオリティ、しなやかな乗り心地、高い実用性を見事に兼ね備えていました。
デジタル化が進む現代の輸入車市場において、「デザインの美しさ」「先進性」「走る歓び」のバランスが最も高いレベルでまとめられた一台と言えます。「大人の日常をちょっとドラマチックにする車」を探している方に、自信を持ってお勧めできる完成度です。


